診療科・各部門 Introduction of Department くすりの窓 夏本番ですね。うだるような暑さで寝苦しい夜が続いています。 今回のくすりの窓では、睡眠についてとりあげます。不眠症と睡眠薬の話を中心に、金縛り、いびきといった話題にもふれていきます。 睡眠時間 1日の総睡眠時間は年齢とともに変化します。1日の3分の2を眠って過ごす新生児期から徐々に睡眠時間は減少していき、老年期になると再び長くなります。成年の平均睡眠時間は1日7~8時間とされることが多いですが、幅が大変大きいので「7~8時間の睡眠時間が必要」「7~8時間眠っているから十分眠っているはず」といった考えは間違いなのです。 不眠症 国内で行われた多くの調査によると、日本人の4~5人に1人は何らかの形の不眠で困っているといわれています。不眠は男性より女性に多く(約1.
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恐ろしいものが追いかけてきたり身体の上にのしかかってくるのに、逃げようとしても身体がまったく動かない。これが俗にいう「金縛り」現象です。専門的にはレム睡眠の特殊な場合に起こる睡眠麻痺とよばれる生理的な現象です。 レム睡眠は浅い眠りで、ほとんどの人は夢をみています。つまり、脳は起きている状態に近いのに、筋肉はゆるんでぐったりしているという身体の眠りです。このレム睡眠のときに急に目が覚めると、体の力が抜けきっているため、すぐには動けず金縛りといった状態になるのです。ただ、この状態は数秒あるいは数分続くだけで徐々に、または突然に回復します。金縛りは若い人に多く、不規則な睡眠習慣や睡眠不足、心身のストレスが溜まっているようなときに起こりやすいといわれています。 危険ないびきって? いびきは、寝ているときに舌や喉の奥の筋肉がゆるみ気道が狭くなり、空気が通るときに口の中の軟部組織が振動しておこる音です。年をとるほどいびきは多くなり、60代では男性の60%、女性の45%は一晩に1回はいびきをかくといわれています。お酒を飲みすぎた時や身体が疲れている、扁桃腺炎や鼻炎などの病気がある人もいびきをかきやすくなります。 軽いいびきは騒音程度で、特に健康上の心配はいりません。ただし、いびきをかく人の中には、睡眠中に呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」という病気が隠れていることがあります。夜のはげしいいびきが原因となり、昼間に耐えられないほどの眠気におそわれる人は、この病気が隠れている可能性があり、要注意です。 「睡眠時無呼吸症候群」 は、睡眠中に一時的に10秒以上続く無呼吸が1晩に30回以上も起きるという睡眠障害です。大きないびきのあと、突然いびきが止まって無呼吸となり、その後、空気が抜けるような「ヒュー」という音や、「ググッ、ガガッ」という大きないびきをかくような場合は、この病気が疑われます。無呼吸時の酸欠状態は、高血圧や動脈硬化などを引き起しやすく、脳梗塞や心不全など生命にかかわる危険もあり注意が必要です。いびきの気になる人は、一度、睡眠中の状態を家族に観察してもらいましょう。
調査方法:gooランキング編集部にてテーマと設問を設定し、gooランキングが提供する投票サービスにてアンケートを行いその結果を集計したものです。 投票数合計:1, 651票 調査期間:2021年4月30日~2021年5月14日 つぶやきを見る ( 388) 日記を読む ( 17) このニュースに関するつぶやき Copyright(C) 2021 NTT Resonant Inc. All Rights Reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。 掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。 コラムトップへ ニューストップへ
A:長期不眠の場合は、ある期間きちんと服用して、睡眠のリズムを整える必要があります。薬を飲まないと眠れないのに無理して飲まないでいると、生活のリズムが崩れ、かえって眠れなくなることもあります。心地よい眠りや正常の睡眠リズムを得るための最低必要量は長期間服用していても安全です。 Q:毎日飲むと効かなくなりませんか? A:長期間服用していると効果が弱まる現象を「耐性(たいせい)形成」と呼びますが、適切な服用をしている限り耐性はほとんどないと考えてください。 Q:飲み始めるとやめられないのですか? A:急に睡眠薬をやめると「反跳性(はんちょうせい)不眠」といって、それ以前より不眠が強くなることもありますが、少しずつ減らしていけば大丈夫です。医師の指示に従いながら、必要なときはしっかり服用し、計画的に減らしていってください。 Q:睡眠薬を飲むとボケませんか?
少しはおわかりいただけましたか? 本日は薬を処方しなくてもよさそうですね。それではお大事に。
起こし続けられた人は時間の経過と共に非常に強い眠気を催し、同時に考えがまとまらなくなり、作業能力が低下して、ついには夢と現実がごちゃ混ぜになって錯覚や幻覚、妄想が起こったそうです。 結局、断眠実験の最高時間記録は101時間8分30秒(4日と2時間)でした。(これは国立精神神経センタ-の大熊先生のデータによります。)それにしても4日間眠らずに過ごすなんて凄いですよね。 前置きが長くなりました。ではお聞きしますが、あなたの不眠は次の3つのうちのどのパタ-ンですか? 1)寝つきが悪い。つまりお布団の中にもぐってもなかなか眠れない。(入眠障害) 2)夜中に何回も目が醒めて、よく寝たという感じがしない。または、朝起きた時に良く寝たという充実感がない。(熟眠障害) 3)朝、あるいは夜中に早く目が醒めて、それからは眠れない。(早朝覚醒) 不眠に悩まれて酒井病院の外来を受診される方の大部分が、3つのパタ-ンのいずれかに当てはまります。(時には2つ以上ということもありますが。) さて次の問診は、あなたの不眠がどれくらいの期間続いているのかということです。 1)数日間(一過性不眠) 2)3週間程度(短期不眠) 3)3週間以上(長期不眠) 質問がしつこくなって申し訳ないのですが、次に3つ目の問診です。あなたは眠れない原因に何か思い当たることがおありですか? また、眠れないことが心の大きな負担となり、日常生活や仕事に支障をきたしていますか?
ということについてです。例えば歯が痛くて眠れないのならば、痛みを抑える鎮痛剤の適応になるでしょうし、体がかゆくて眠れないのであれば、かゆみをおさえる薬が第一選択となるでしょう。痛みやかゆみで眠れない方に対して単に睡眠薬を処方するだけ、なんてことは通常はあり得ません。また会社や家庭の中で大きなストレスをかかえていて眠れない、ということであれば、安定剤の処方と同時にストレスを対話によって解消する「カウンセリング」の必要性がでてきます。 長期不眠の陰には胃腸病や高血圧、時には先ほど述べた「睡眠時無呼吸症候群」のような呼吸器の病気がかくれていることもあるのです。ですから私は眠れない方に対していきなり、「ハイ、じゃあ睡眠薬を処方しますね。」なんてことは言いません。 何だか話がとても長くなりました。では最後に不眠に対する治療方針をお示ししましょう。 1)原因がわかれば、それを取り除く。 歯が痛ければ痛みの治療を、かゆみがあればかゆみの治療を、ということです。以前、騒音が原因で眠れなかった方には耳栓をしていただいたことがありました。 2)周囲の環境、身体の環境を整える。 つまり眠りやすい環境を整えることですね。例えば室内が明る過ぎないか、逆に暗すぎないか。また温度(室温)が適切かどうか? また身体の環境を整えるためには、寝る前にカフェイン(コ-ヒ-など)を控える、自分なりのリラックス法を実施する(最近では深呼吸やアロマセラピーが流行していますね。)など。時には寝る前に少しだけお酒を飲むのも良いみたいですね。ただし薬との併用には注意が必要です。担当医に相談を。そうそう、大切なことを忘れていました。日頃から食事、就寝、起床などの生活リズムをキチンと作っておく。 人間だってもとは野生の動物です。日が昇れば活動し、日が沈めば寝るように身体はできているはずなのです。ところが、現代社会ではここのところがうまく行きにくいのですね。 3)薬物療法を実施する。 睡眠剤に限らず、どのような薬も主治医による指導のもとに使用することが大事です。漫然と薬を内服するとことは謹まなければなりません。特に睡眠薬の処方は最長でも2週間分までと定められており、処方を受けるために定期的な外来受診が求められています。 4)睡眠に対する正しい認識を持つ。 不眠そのものはそれほど恐れるべき症状ではないこと、睡眠時間は個人差が大きいこと、もともと正常な睡眠時間というものはないことを認識することが大切です。今まで繰り返しお話したように、睡眠障害の背景にある病気さえ気をつけておけば大丈夫です。 ずいぶんと色々なことをお話しました。どうでしょうか?