大腸の粘膜には、神経が通っていないので痛みは感じません。 1cm程度の大きさなら、 がんであってもその場で切除することができます。 小さくても浸潤が疑われるがんや2cmを超えるような大きいポリープは入院施設の整った専門病院をご紹介して、そこで改めて処置をしていただきます。 内視鏡を通すことがためらわれるようなケースはありますか? やはり、 麻酔をかけても痛みが出る場合 ですね。無理をして内視鏡を通すと、大腸が破れかねません。 大腸の形が複雑なケースや、癒着が起きているケースなどは、場合により検査を中止します。 カプセル内視鏡という選択肢 大腸のカプセル内視鏡もあるのですよね? あります。 カプセルは口から飲んで、撮影しながら大腸を進み、便とともに肛門から排出し回収します。 回収したカプセルは病院や自治体のルールにあわせて適切に廃棄していただきます。 大腸のカプセル内視鏡なら、痛みはないと思うのですが? 施術時の痛みはありません。 ただし、 下剤の量が倍になります。 カプセルは自分で動けませんので、下剤をのみ、押し流す必要があるからです。胃や小腸で長時間とどまっていると、バッテリーが切れてしまいます。 カプセルと一般的な内視鏡では、どちらがいいのでしょう?
方法としては二つあります。一つ目は、 鎮痛・鎮静剤を用いて痛みを軽減する方法 です。静脈麻酔薬を用いることで内視鏡検査を眠っている間に済ませられますので、過度な緊張もとれ、患者様がリラックスした状態で検査を進めることができ、 実質的な痛みをほとんど感じません。 鎮痛薬には「 オピスタン 」という薬を用いるのが一般的です。 もう一つの方法についても教えてください。 もう一つは、 内視鏡操作の工夫によって痛みを軽減する方法 です。無数にある大腸のひだを一つずつ折り畳むようなイメージで内視鏡を進め、 S状結腸を直線化して丁寧に内視鏡を進めていきます。 そうすれば周辺の神経を刺激せず、内視鏡を進める事ができます。麻酔薬を使うのが怖いという方もいらっしゃいますが、このような 内視鏡を直線化する技術を用いる事で麻酔の量を減らすことができます。 薬の種類も患者様に合わせて調整することができますので、担当医の先生に遠慮せずご相談ください。 大腸内視鏡検査には、下剤による「つらさ」もある ほか、大腸内視鏡検査を受けるときにしなければいけないことは? どうしても避けられないのが下剤です。 1. 5リットルから2リットルの下剤を、2時間くらいかけてのむ必要があります。 もちろん痛みはないのですが、「つらい」「おいしくない」と感じる方がいらっしゃいます。また、 検査前日は消化の悪い食事を控えていただくなどの食事制限 があります。検査をしっかりと行うためにとても大切な事ですが、何を食べたらよいか分からないと悩んでしまう方は少なくありません。大腸検査食のキットなども販売されています。種類もいくつかあり、美味しく食べやすいので活用していただきたいと思います。 では、下剤を飲むときに注意したいポイントは? 便が薄黄色〜透明色に近くなるまで下剤をしっかり飲んでいただきたい ですね。しかし、約半分の量を飲んでも全く排便がない、吐気があるなどの場合は 腸閉塞 などの危険性もありますので、 追加で内服することをせず医療機関にお問い合わせください。 排便時に痛むことはありますか? 大半の方は痛みを感じませんが、人によっては 下痢の時のような下腹部痛を感じる事もあります。 また、 下痢の勢いが強いと、肛門に痛みが生じる事があります。 これは便や水分のこすれによるものです。 仮にポリープがみつかった場合、大腸内の切除なら「痛くない」のですよね?
【漫画付き】大腸の内視鏡検査って痛そう…痛みを和らげる方法ってあるの? がんによる死亡者数の部位別上位を占める大腸がん。その有効な早期発見方法が、大腸の内視鏡検査です。しかし、 カメラを体内へ挿入するのは、「怖い」「つらい」「痛い」といったイメージがつきまといます。 はたして、実際のところはどうなのでしょう。日本消化器内視鏡学会専門医でもある、「りつの内視鏡クリニック」の立之先生を取材しました。 監修 医師 : 立之 英明 (りつの内視鏡クリニック 院長) プロフィールをもっと見る 北里大学卒業。国立病院機構仙台医療センター消化器内科勤務、順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科准教授などを経た2019年、生まれ育った相模原市内に「りつの内視鏡クリニック」開院。日本消化器内視鏡学会専門医として携わってきた20, 000例以上の治療経験を、地域医療に還元している。医学博士。日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化管学会胃腸科専門医・指導医、日本ヘリコバクター学会(ピロリ菌)感染症認定医、日本内科学会総合内科認定医。 大腸には難易度の高い「S字クランク」が存在する 編集部 大腸内視鏡は肛門から挿入するのですよね。痛みはありますか? 立之先生 個人差はありますが、一般的には 痛みを感じる方が多い ですね。大腸内視鏡検査による痛みには、 内視鏡を挿入する際に生じる肛門部の痛み と、 内視鏡が大腸を通過する際に生じる痛み があります。大腸そのものには、痛みを感じる神経は通っていませんが、内視鏡によって押されたり動かされたりした大腸が、周辺の神経を刺激するため痛みが生じます。とくに「 S状結腸 」という、内視鏡の通過が難しい部分で痛みを感じる方が多くいらっしゃいます。 まずは、わかりやすい肛門部に起こる痛みの対処法についてお願いします。 塗り薬タイプの局所麻酔で痛みを緩和 します。痛みは和らげてくれますが、 肛門の筋肉には影響しない ので、検査後の排便機能には影響しません。 続いてS状結腸の痛みについてですが、そもそも、どういう仕組みになっているのでしょう? S状結腸は文字どおり 「S字」のように鋭く曲がっていて、周囲に固定されず、宙づり状態でぶらぶらしています。 ということは、「押すと動く」のです。このため、 「S字」の状態で無理に内視鏡を押し進めていくと腸が伸ばされて周辺の神経を刺激し、痛みが生じます。 この場合の痛みに対する対処法は?