こどもの統合失調症 一般的に10歳までの発症は珍しいとされていますが、中学生くらいになるとそれほど珍しくはなくなってきます。また、18歳ごろを過ぎると急増すると言われています。 子どもの場合、発症はゆっくりと進み、不登校・不安障害・チック障害などの発症を経て出てくる場合が多いようです。 原因は複雑で、遺伝や生まれてからの環境など、様々なものが絡み合っていると言われています。また、家庭内・学校等でのストレスも原因の一つです。 そうした、なんらかのきっかけで「ドーパミン」という神経伝達物質が過剰に出され、脳がうまく機能せずに統合失調症を発症することが分かっています。 症状としては、急に怒りっぽくなるなど情緒不安定などの前兆が出始め、恐怖や不安、妄想、幻覚、幻聴などが現れて時に暴力的になったり、言葉が支離滅裂になってきたりします。 薬物治療が中心ですが、周囲からの配慮も必要です。 発症の初期に適切に処置をすれば、経過が良好である場合が多く、何か気付いたことがあればためらわずに医師の診察を受けることが望ましいと言えます。
2欠失、3q29欠失など)に含まれる複数の遺伝子の中から、病態に関連した遺伝子の候補も同定した。 1.背景 統合失調症とASDは、精神症状による精神医学的な診断基準により、異なる精神疾患として区別されていますが、最近の疫学研究から、この2疾患の病因・病態はオーバーラップしている可能性が示唆されています。欧米人を対象にした最近の遺伝学研究からも、ASDと統合失調症の両方の発症に関与するCNVが同定されています。しかし、日本人を含む他の民族の研究報告は乏しく、更に世界的に見ても両疾患でCNVを直接比較した大規模な研究もほとんどありませんでした。したがって、ASDと統合失調症の日本人患者を対象にCNVの観点から直接比較解析することは、病因・病態の解明や2疾患の関係性を深く理解するうえで重要です。 2.研究成果 本研究グループは、ASDと統合失調症の日本人患者および健常者(全体で5500名以上)を対象に、アレイCGHという手法を用いてゲノム全体のCNVを詳しく解析し、2つの患者群でデータの比較解析を行いました。その結果、両疾患の患者の各々約8%で既知の病的CNVが見つかりました。これらの変異は、染色体上に広く分布しますが、両疾患に共通するものも29のゲノム領域( ASTN2 、 MBD5 、7q11. 23、16p11. 2等)で見つかり、リスク変異がオーバーラップすることを確認しました。個々のCNVでは、22q11. 2重複と自閉スペクトラム症、また、22q11. 2欠失、1q21. 1欠失、47, XXY/47, XXXと統合失調症の関連が統計学的にも有意であることを見出しました。また、ASDと統合失調症の発症に関与する日本人特有のCNVを12遺伝子で同定しました。病的CNVをもつ患者の臨床症状の解析から、ASDと統合失調症の両患者群において知的能力障害の合併率が高いという特徴も見出しました。 次に、個々の病的CNVによって影響を受ける遺伝子が、どのような生物学的発症メカニズム(パスウェイ)に集積しているかを遺伝子セット解析という統計学的な手法を用いて調べた結果、ASDと統合失調症の病態に関与するパスウェイの知見も得られました。パスウェイのレベルでも両疾患のオーバーラップを認め、その中には既に指摘されているシナプス ※5 、低分子量Gタンパク質シグナル、遺伝子発現制御に加えて、酸化ストレス応答、ゲノム安定性、脂質代謝などの新規パスウェイも含まれていました。最後に、ASDや統合失調症との関連が確立した8つの大規模CNV(22q11.